10
--
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
読んだ本の記録、感想、時々妄想
実は本なんか読まなくても全然平気で生きていけます
<< お友だちからお願いします | main | 陰陽師 天鼓ノ巻 >>
不安な童話
彼女は波間に浮かぶ黄色いバラの花を見ただろうか。「嫉妬」という花言葉を持つこの花を、自分を焼き尽くしたその言葉を。


二十五年前に変死した天才画家・高槻倫子の遺作展で、強烈なデジャ・ヴに襲われた古橋万由子。
倫子の遺子から「あなたは母の生まれ変わりではないか」と告げられたことをきっかけに、万由子は奇妙な事件に巻き込まれていく…。

再読。3回目かな?
10月からこっち、『スクールボーイ閣下』(ジョン ル・カレ)をちまちまと読み進めているんだけど、慣れない翻訳文に四苦八苦しているうちに「あー…なんかスラスラ読める小説が読みたい…」と思って本棚から引っ張り出してきたのがこれ。

恩田陸の作品はジャンル分けが困難な作風で、ミステリー仕立ての導入だからといってミステリーだと思って読み進めると期待していたような結果はまず得られないのだが、この初期の作品はかなりミステリー寄せと言えるだろう。
主人公の不思議な能力や輪廻転生の話を絡めながら、二十五年前の天才画家変死の真相にきちんとたどり着く。
恩田作品は、どちらかというとスピリチュアル寄せよりミステリー寄せの方が好みなので、この作品も昔からけっこうお気に入り。

再読していて改めて感じたのは、恩田陸は何気ない、それでいて印象的な情景を描くのがやはり上手いよなあということ。単に自分と作家の波長が合っているだけかもしれないけど。
この作品でいうと、女子校を訪ねた主人公が「懐かしい、放課後の空気。この中では永遠にこういう時間と空気が流れ続けるのだ。」と感慨にふけるシーンとか、万佐子が子供心に母の嫉妬と絶望を敏感に感じ取って「あの女の人のせいだ」と思うシーンとか、その場の黄昏色の空気を自分が経験したことみたいに頭の片隅で覚えていて、再読するたびに「ああ、こんなことあったあった」と感じてしまう。
作品紹介によれば著者は「読み終えると、ずっと昔からその話を知っていた気がするような小説」を書きたいと語っていたそうなので、まさにその目論見は成功していると言えるのではないだろうか。



それにしても、脇役の今泉俊太郎は主人公の幼馴染、イケメン、頭が良くてちょっと変わり者と、けっこうおいしいキャラクターな気がするのに、後半のこの空気っぷり…!もったいない…!むしろここまで空気だとストーリーの進行上は居ても居なくてもそんなに差し支えなかったような気が(ry
本:恩田陸 | - | tsukigasem
(C) 2019 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.
LATEST ENTRIES
CATEGORY
ARCHIVES
RECOMMEND!!!

LINKS
PROFILE
OTHER